お金の流れから世界の今を知る一冊 『お金の流れが変わった!』 大前研一 著

レビュープラスさん(@reviewplus)にレビュアーに選んでいただいて、読みました。大前研一さんの本、大好きなのでとてもうれしいです。いつもありがとうございます(^^)

お金の流れが変わった! (PHP新書)

お金の流れが変わった! (PHP新書)

著者の大前研一さんは、MITで博士をとって、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、アジア太平洋支局長、日本法人会長を歴任、現在もビジネス・ブレークスルー大学院大学を運営するなど、元気すぎる経営コンサルタント・・・なんて書く必要もないか。著書多数。

新刊の『お金の流れが変わった!』では、世界をさまよう4000兆円とも言われる「ホームレスマネー」、ホームレスマネーが向かう新興国経済、さらには日本・日本人はこれからどうするとよいのか、幅広く説明しています。

日本のニュースでは報道されない興味深い事実もそこかしこに。読み物として、世界事情を楽しく知ることもできます。たとえば、中国の新築マンションについて、ちょwwwという一節。

すでに中国では新築物件(多くは投機で買ったマンション)の空室が七〇〇〇万戸もあるといわれている。アメリカでサブプライム危機の後遺症によって競売に出されると予想されているのは最大でも一〇〇〇万戸で、じつにその七倍にあたる。しかも中国のマンションは完成形ではなく、コンクリートを打ちっぱなしの空っぽの状態で売られているので、いまだその多くにはトイレも風呂も設置されていない。みながお金を借りることに精一杯で、物件の価値が上がってから内装を行おうと考えていた段階,,で、値上がりが止まってしまったのだ。
p50-51

その他、中国の表と裏、金融危機後少し停滞したものの依然おもしろそうなEU、これから目が離せないインドネシアなどのアジア諸国 etc いろいろな地域や国の事情を知ることができます。

大前節も健在。おもわず、その突っ込みたしかに!という部分をひとつ引用してみます。

もちろん政治家は票がほしいから、「いずれ日本経済は回復する」「われわれは二パーセント成長を目指す」とお題目を述べる。しかし、今後も少子高齢化が続くことを考えたら、そんなことは無理に決まっている。毎年四十万人ずつ働く人が減っていく国でGDPが上がっていったら、それこそ奇跡だ。
p146

日本について言及している部分も多々あって、どうしてこんなにも財政がぼろぼろなのに(民主党をこき下ろしまくり)、今なお意外と生き延びられているのか、そういう状況にあってどう躍進すれば(立ち直れば・・・ではなく)よいのか説明しているのですが、それは本書を読んでのお楽しみと言うことで。日本や日本人に対しては、阿保か馬鹿かと厳しいことがたくさん書いてあります。個人的には、上の上の世代からの叱咤激励のような気がして、姿勢を正して楽しくがんばりたいところ。

21世紀に入って10年、変わりつつあるお金の性質やその流れを、世界地図の上でとらえられる良書ではないでしょうか。新書で軽くて、ざっと読めるのも◎ 一読して(旅行好きは行きたいところリストを作って)、新しい潮流を頭の中に入れておくと、これからの世界を楽しめそうです。

おすすめ!

■ 旅行本としての大前本

大前本は世界の流れをとらえられる良書であるとともに、「旅行ガイド」として楽しめるんですよ!特にタイトルに地域や国の名前がつく『ロシア・ショック』『チャイナ・インパクト』『東欧チャンス (PATHFINDER (5))』といった書籍。『お金の流れが変わった!』もたくさんの地域や国について書かれていて、よき旅行ガイドになること請け合い。私は、発展を遂げつつあるインドネシア(女の子、本当にしっかりしていて、礼節を重んじるいい子ばかりで彼女たちの国を訪れてみたい)と、EUの優等生ドイツ(来年お隣、OpenLeaksの本拠地、ドイツ語しっかり勉強しないとね)をますます見に行きたくなりました(^^)

経営コンサルタントとして有名な大前研一さんですが、大学時代には外国人観光客を案内する添乗員として活躍したことも。で、その時の影響なのか何なのか、ぶんぶん飛び回っているんですね。自分の足で歩いて、目で見て、提言や解説をしているところ、本当に尊敬に値します。大前さんの旅ガイドも出版されているので、旅好きは合わせてどうぞ!

旅の極意、人生の極意

旅の極意、人生の極意

# この本か、『東欧チャンス』で「ドナウ川くだりはすごい」の一文を見て、今年の夏、数時間ですが下ってみました。本当に素敵。機会があったらフルでクルージングしたいところ。