旅をしながら、人生を考えながら読みたい 『旅のラゴス』
旅を通じてちょいちょい読もう!と思って持ってきたらもう読み終わってしまいました。
この本を読もうと思ったきっかけは、id:tomomi_keep さんがすすめていて、きれいな表紙に一目ぼれしたから。旅に出る時に読もう読もうと思っていて、ようやく今年初久々の長旅。迷わず旅のお供に持ってきました!
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1994/03/30
- メディア: 文庫
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読み進めていくと、ラゴスは学究の徒だということがわかり、いろいろなことを知るべく旅をするところ、人生を通じて旅をするところに共感。まだまだ中途半端旅人ですが(^^;彼の言葉は深いです。
長旅のため荷物を減らしつつ動こうと思っていて、この本とは、スペインでお別れ、友人のところに置いてこようと思っているので備忘録的にメモします。
「今までずっとこのほうほうでやってきたのだ。われわれはこのやりかたに馴れている」ポルテツは苛立たしげにそう言っておれを睨んだ。 (p14 「集団転移」より)
こういうことってついつい言いがち。注意が必要だぞ、と。
「人間は心の中では、ずいぶんとんでもないことや、ひどいことを考えるからな。それがまともにわかったのではちょっとやりきれないだろうな」 (p27 「解放された男」より)
「あんたのおかげで採鉱の方が手不足になった。人数が減ったこともあって、みんな、以前の二倍働かされている。昨日からはわしまで掘削をやらされることになった」 (p90 「銀鉱」)
奴隷をして銀鉱に捕えられたラゴスが銀を精製する機械を作って言われたこと。ひとつ目の「このやり方に馴れている」同様言ってしまいがち?登場人物の言葉の中に、いろいろな考えをしのばせるのがすごい。
かくも厖大な歴史の時間に比べればおれの一生の時間など焦ろうが怠けようがどうせ微々たるものに過ぎないことが、おれにはわかってきたからである。人間はただその一生のうち、自分に最も適していて最もやりたいと思うことに可能な限りの時間を充てさえすればそれでいい筈だ。 (p122 「王国への道」)
祖先が残した膨大な資料を数年かけて読み込みつつ、ラゴスが独白する部分。太字のところ、この本を通じて一番響いたところ。
まことに、歴史というのは学問をしようという者にとってすべての学問の基礎であり、最初の学問ではなかっただろうか。 (p123 「王国への道」)
まさに。歴史歴史。
こんなところかな?
旅を楽しみましょう。