原発に対する意見をうまく持てずにいました

東日本大震災から一年が経ちました。

この一年、原発に対してどういう立場をとったものかずっと決めかねていました。ここにきて少し自分の意見がかたまってきたのでここに書いてみようと思います。

原発に対する立場は、反原発脱原発、中庸、推進などいろいろな立場があります。私は工学出身で、生来ラディカルではなく、必要ならば仕方ないという曖昧な立場をとっていました。脱原発と中庸の間くらい。

震災のあと、5月に渡欧してオーストリアで暮らし始めて、「日本はどう?」「原発についてどう思う?」と聞かれても、NHKのラジオニュースや家族・友人から聞く現状を紹介して、自分自身の立場については「全部止めちゃうわけにはいかないだろうし、即原発停止、反原発とは言えない、でもなくなるといいよね」と煮え切らない返事をしていました。

先日泊めてもらっていたドイツのおうちで、「日本はどう?」という話になって、思いがけず自分の意見が出てきました。

日本の食材を使ったり、食べものをお土産にもってきたり、日本に来てねって言えなかったりっていうのはこの一年さみしかったな。あと、少なからず自分が電気を買っていた会社、政治に参加していた国が世界に迷惑かけてしまったことを申し訳なく思うこともあるよ。私は「騙された、被害者だ」とは言えない。こういう思いは他の人たちにはしてほしくなくて、原発がその一因であるなら、止めた方がいいと思う。で、意外とやってみたらできるんじゃないかな。ドイツやオーストリアを見てそう思ったよ。

震災から一年が経った3月11日には、ドイツのベルリンで毎月11日に開催されている KOI KLUB という集りに出ていました。

Facebook

みんなで Radio Activist というドイツの人が制作した、東京の原発反対デモを記録した映画を見ました。

Radioactivists

高円寺でリサイクルショップを経営している人が「生活スタイルを変えなければいけない時期なんじゃないかな」と言うシーンがとても印象的でした。東京から京都に生活の場所を移してからうすうす感じていたこと。といっても、ストイックに変えるのではなくて、楽しく快適に変えられるんじゃないかな。これ、ヨーロッパに移って更に強く感じています。少ないエネルギーで大丈夫になるんだと思う。代替エネルギーで現在のエネルギー量をまかなうことも大事だけれど、生活や産業を見直して総量を減らすことも同様に大事。夜友達と好きな食材を持ち寄って集まってろうそくの明りのもと話をして過ごす、ファーマーズマーケットで丁寧に作られた食材を会話を楽しみながら購入する、ヒッチハイクして友達の家にお世話になって時に野宿して旅をする、なんてこっちで知ったよいスタイルの典型です。

一晩に数百ユーロも使って、お洒落なレストランで食事して、そのあとバー、カラオケ etc、服や靴や化粧品に何万円も使う etc etc、これはちょっと健全じゃないというか、自分のスタイルじゃないなと。たまにはギラギラ東京ライフも楽しいけどね。ほどほどがいい。

高度経済成長期を経て、GDP で世界第2位にまでなった(今3位だけど)なんていう奢りは捨てて、いろいろな国、人から学んで、あと、未だに持っている富みたいなものは「震災以降のトラブルごめんなさい、いつもありがとう」と景気よくまわりと分けて、原発は止めていけばいいんじゃないかな。クリエイティブに楽しみながらできることだと思います。「富」や「先進国」の概念を変えるよという勢いで。

震災から1年、そんなことを思います。苦行ではなく、楽しくがんばりましょう。

■ 余談

私は、現実的でシニカルなところは橘玲さん、日本人は世界の「よきサマリア人」であれというところは大前研一さん、楽しくクリエイティブに人生や世界をハックするというところは高城剛さんの考え方に多くを学んでいます。

大震災の後で人生について語るということ

大震災の後で人生について語るということ

サヴァイヴ!南国日本

サヴァイヴ!南国日本

大前さんの言葉はどの本だったか記憶が定かではないのでまた今度 :)
「いいよいいー私なんかでよかったらプログラム書くよ!」と contribute to good causes なプロジェクトのお手伝いをするのは、日本に生まれたのはスーパーラッキーだったと思うし、これまで信じられないほどいろいろな人たちによくしてもらってきたし、どうして他の人のお手伝いをしないものか! という思いがあって、あと、大前さんのいうサマリア人でもありたい。