こんな時だから 『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス』――原発の概要がつかめるよ
原発についてどう考えたらいいのだろう。
震災以前、環境分野の友人が原発の危険性を(やや感情的に)指摘するのを聞き、一方でエンジニアリングの人たちが(論理的っぽく)推奨するのを聞き、どちらかに全面的に賛成!とは言いきれず、むずむずしていました。
昨日、東京で水質の問題が出て、「原子力や原発、放射性物質について平易に概要を説明したものを読みたいなあ」と。で、昨年出版された『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス Ⅰ』を思い出しました。米カリフォルニア大学バークレー校のリチャード・A.ムラー教授の名講義「Physics for Future Presidents」をベースに書かれた書籍の邦訳版です。第三講の内容がどんぴしゃ。
- 作者: リチャード・A.ムラー,Richard A. Muller,二階堂行彦
- 出版社/メーカー: 楽工社
- 発売日: 2010/09/02
- メディア: 単行本
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▽ 学問、実用、地獄のミサワ?はてなブックマーク 新刊ピックアップ - はてなニュース (アルバイト先のニュースメディアで取り上げた記事。サンデル教授の次のブームにはなりませんでしたね。残念!)
●第三講 原子力
8 放射線の基礎知識
9 放射性物質の基礎知識
10 核兵器を知る①
11 核兵器を知る②
12 原子力①
13 原子力②
14 核廃棄物
15 核融合制御
「放射性物質」「放射能」「放射線」という言葉がところどころ混同されているのはイマイチ。原著にはあたっていないのですが、多分邦訳の問題ではないかと思います。さすがに著者は物理学の教授だし…ね。これら用語の違いについては、以下の「うんこ」(失礼)の例えが不覚にもわかりやすいです…。
▽ http://ayacnews2nd.com/archives/51656066.html
内容的には、興味深い例を引いて、数式や難しい記述抜きで解説してあるので、するする読めます。すべては理解できなくても、少なくともむやみに目に見えない脅威に怯えることはなくなるでしょう。何でイソジン飲んでも意味がないかもわかります(^^;
英語でもよいよ!という人は、YouTubeに講義の動画があります。多分この「Physics 10 - Lecture 01: Atoms and Heat」に続くシリーズが原子力関係の講義です。本より少し理系寄りな気がします。
こういう時だから、落ち着いて、正しい認識を持ちたいところ。で、そういうところを「情報学」は探究しないとね、とニワカ情報学分野研究者の私は思うのでした。…と書いてみたものの、お空が動いているとみんなが信じていたら、実は地球が動いていたなんてこともあったから、気休めでしかないのかな。まあ、でも、ね。
そうそう、震災直後とその翌週に公開された大前研一さんの動画がとてもわかりやすいです。BBTの講義をフルで公開してくれるなんて太っ腹。思わず入学したくなっちゃいました。うまい。