さっそく試してみたくなる(食べたくなる…) 永田農法 『奇跡の野菜』

晦日に本屋さんをうろうろしていて、ぱっと振り向くと、園芸コーナーにこの本が。呼ばれた気がして、さっそく購入。
昨年、環境や農系の人たちと知り合う機会があって、今まで以上に食べ物に興味を持って、あと、もっと先のこれからのライフスタイルを考えるにつけ、食べ物についてはもっと真剣に考えないな…という背景がありました。人間以外も含めたみんなで楽しく長生きしたい!という思いから。

奇跡の野菜 ―永田農法は進化する

奇跡の野菜 ―永田農法は進化する

どこかで名前を耳にした気がする「永田農法」。一流シェフがこぞって永田農法で作られた野菜を使うそうです。ユニクロが一時期野菜事業に取り組んだ時に、採用しようとしたのも永田農法とのこと。ほぼ日でも取り上げられているんですね。

本書に書かれている内容は、永田農法で作られる野菜のすごいところにはじまり、永田農法のエッセンス、この農法で農業に取り組んでいる事例、はては世界進出まで。

耳慣れない自己啓発本出版社ではなくて、東洋経済から出ていて、いたずらに「有機万世」じゃないところも、何となく安心して読めます(^^;

 「安全だ」「自然にやさしい」などを謳い文句にしていますが、果たして本当にそうでしょうか?
 最近の有機農法ブームで、誤解されている方もいるようですが、中身の成分がはっきりとわかっていて計算できる科学的な農薬は、植物性や漢方など残留成分がはっきりわからない農薬を比べて、使用法さえ誤らなければ安全なものなのです(ただ、日本の多くの農産物には、農薬を使いすぎる傾向があり、それは問題ですが)。
<中略>
 私が疑問に感じるのは、有機肥料そのものというより、「有機肥料なら何でも安全」という風潮に対してなのです。


第2章「有機野菜はほんとうにいい?」 p52 より

他にも「何気なく食べているけれど、結構おそろしいものありそう…」と思う部分が。

  • 緑の濃いものが体にいと考えがちですが、健康に育った野菜は淡い緑をしています。深緑色は富栄養によってもたらされた、不健康な色なのです。(p50)
  • 農産物をつくる農家が、自分たちのつくったものを食べない(p84)
  • 海外から農産物を輸入している業者が、自分たちが輸入した農産物を「絶対に食べない」(p84)

Oh no. 気を使っている方(というかおいしいものが好き)ですが、ガクガクブルブルと。

農業のあやしい現状について書かれた部分を引用しましたが、悲観的な本ではなく、「こうなるといい」「こうならないといけない」というところまで、しっかり書かれていて、決して暗い本ではありません。著者の永田さんがぶんぶん世界中を飛び回って、食や農業を良くしようと挑戦する様子はすごいです。80歳以上、元気すぎる(「60歳以下の若者」と書かれている部分もあり、いいですね、こういう人)。

商業としての農業だけでなく、個人が楽しむ農業についても書かれています。むしろ、個人がベランダなど、身近に始められるところから野菜を作って、考えましょう、と。賛成です。永田農法で使う液冷土についても、惜しみなく書かれていて、さっそく始められそうです。ネット上にもたくさん情報があります。

私も京都に戻ったら、さっそく研究室でぬくぬく育っているバジルで始めてみます。

食べることが大好き、食や野菜に興味があるという人にはおすすめ。