アイディアからプロトタイプへ、さらにプロダクトにするということ

場所がなくても時間がなくてもうまく園芸ができて、植物を身近に感じられるようにしたいなあという思いからモバイルガーデンという園芸用品のデザインをしています。



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デザインし始めたのは2010年の終わりからなのでかれこれ3年目になります。プロトタイピングを繰り返して、最終的なプロトタイプができたのが去年2012年の5月の終わり頃。いろいろなところでプロトタイプを試用して、ドイツの友人がビジネスディベロップメントを手伝ってくれて、ようやくプロダクトにすることができそうです。

市場に出ている製品を見ていると、よい思いつきから、プロトタイプができて、すぐにプロダクトになって市場に流通しているように見えます。MBAのイロハな本を読んでも実に簡単そうに思えます。でも、いざ自分でやってみるとそんな簡単にはいきません。

プロダクトができあがるまでの道のりは以下のような感じで、モバイルガーデンは今 4. をやっています。

  1. (アイディア)
  2. 手近な材料を使ってプロトタイプを手作り、試用、改善する
  3. 少量を機械的に作って様々な環境で試用、改善する
  4. 100-1000個の製造。加工の依頼先、材料調達のシステムを確立する
  5. パッケージング (これまた1-4 をパッケージについて実行する)

1. は飛ばして、2. は文房具屋さんでポリプロピレンの書類入を買って試作・改善、3. はオーストリアでお世話になっていた大学のレーザーカッターで20個ほど試作 … と意外とスムーズに進んだのですが (といっても 2. の段階ではポリプロピレンを素材として使うまでいろいろ試作しまくっています)、4. の材料の調達先、加工の依頼先を見つけるのが思いの他難しい。まず世の中にどんな加工方法があるのかわからない状態で、条件に合う会社、方法を手さぐりで探していきます。これだけウェブ & 検索の時代になっても、この時ばかりは頼りになるのは友人・知人、さらに連絡を取った会社が紹介してくれた会社など、アナログなつながり。モバイルガーデンのケースはプラスチックを打ち抜いて作るのですが、打ち抜き加工に使う抜き型はドイツの南西部の会社に作ってもらうことになりました。この会社は最初に友人の親戚の紹介で問合せた会社に紹介してもらった会社で、打合せに行くと、モバイルガーデンのアイディアを気に入ってもらえたようで、かなりよい条件で抜き型の制作を引き受けてもらえました。できあがった抜き型を使って打ち抜き加工をしてくれる会社も紹介してもらえて、その会社が材料も持っているとのこと。50個から打ち抜き可能で、最初の100個を作る目処は立った感じです。

一方、日本での生産については私がひとりちょこちょこウェブで調べてメールでやりとりして…という方法をとっていて、なかなか前に進めていません。ドイツでのケースと対照実験のようになっています。もう少しプロダクトの背景を伝えて、実際制作を依頼する会社に足を運んでみるのがいいのかもしれません。ここら辺、私はプロダクトディベロッパーだなあと痛感するところで、ウェブで検索してメールで連絡するだけではなくて、電話をかけて実際に人と会って、コンセプトを伝えて … といったビジネスディベロップメント的な仕事がまだうまくないです。ビジネスディベロップメントを見てくれる友人の仕事を見て、現在見習修行中。私はプログラマの出でともするとスーツを毛嫌いしがちですが、「いいスーツもいるんだ」「いいスーツの協力でプロジェクトはうんと前に進むんだ」と考えを改める今日この頃です。

そんなこんなの「アイディアからプロトタイプへ、さらにプロダクトにするということ」ですが、プロダクトにした先には、流通やプロモーションといったプロセスが待っています。ここはまだ未体験ゾーンなので、体験したらブログにポストします。

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

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人生を決めた15分 創造の1/10000

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