サイモン・シン著 『暗号解読』 がおもしろい

WikiLeaksに興味を持って、ウォッチしつつ、いくつか記事を書きました。

シュピーゲル本ガーディアン本が出版されたあたりでは、下手をするとWikiLeaks関連の動画を100時間以上見たんじゃないかな、というはまりようでした(^^; この頃に書いたエントリーを掘り出してきました。早川書房シュピーゲル本よかったなあ。

最近は、昨年のアフガン、イラク、ケーブルリークの時ほどの大騒ぎはないものの、個人的には着実にインフラになりつつ、パラダイムシフトを起こしつつあると思っていて、WikiLeaksへの興味は依然尽きません。

WikiLeaksについて見ていると、暗号に関する話題がちらほら。パスワードを渡す場面のエピソードに始まり、過去の偉大なハッカーたちが輸出禁止の暗号を印刷して国外に出す話、果てはアサンジ氏が好んで読んだという(元No.2の手記『ウィキリークスの内幕』には彼らの愛読書の記述があって本好きにはたまらない)『クリプトノミコン』もまた暗号トピック。

で、通史を読みたいなと手に取ったのがタイトルにもある『暗号解読』です(前置き長いw)。理系読み物で定評のあるサイモン・シンさんの著作で、青木薫さんの訳とあればハズレのはずはありません。

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

これがもう、もう、もう、おもしろい。特に下巻で現代の暗号に近くなるにつれてますます。暗号の分野が確立していくのを追ったストーリーで、今自分の使っている物の一端が垣間見えてわくわくします。公開鍵暗号が発明されるよ…!されるよ!という場面のちょっと前のかっこいい一節をひとつ。

オリジナルな研究をやるということは、愚か者になることなのです。諦めずにやり続けるのは愚か者のだけですからね。第一のアイディアが湧いて大喜びするが、そのアイディアはコケる。第二のアイディアが湧いて大喜びするが、そのアイディアもコケる。九十九番目のアイディアが湧いて大喜びするが、そのアイディアもコケる。百番目のアイディアが湧いて大喜びするのは愚か者だけです。しかし、実りを得るためには、百のアイディアが必要かもしれないでしょう?コケてもコケても大喜びできるぐらい馬鹿でなければ、動機だってもてやしないし、やり遂げるエネルギーも湧きません。神は愚か者に報いたまうのです。

by マーティン・ヘルマン(wikipedia

情報学科の学部学生だった時は、データは送られてればいいよ…と暗号なんかには微塵の興味もなかったのですが、今はこんなに興味津々。ライターアルバイトをして、WikiLeaksをおもしろいと思って、調べて、今まで興味がなかった暗号に興味を持って…と、こう、なんていうのかな、ビッグバン的な何か快感が起こりますよね、時々。ビッグバンのきっかけに感謝しつつ、次のビッグバンを求めつつ、今日もふらふら…。

よくまとまっていませんが、『暗号解読』おもしろいです。読み物を探している方は手に取ってみてはいかがでしょうか。文庫というのもありがたいです。

昨年、読書の秋に科学技術読み物の記事も書きました。『暗号解読』の著者サイモン・シンさんの『フェルマーの最終定理』もランクインしています。その他もオススメ。